ブランド・ストーリー

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2018年11月19日

【ブランド・ストーリー】冨士屋製菓有限会社様


【冨士屋製菓有限会社】創業は明治19年。砂糖がまだ配給制の頃で、大日本帝国政府より菓子製造営業免許をいただいた地域の菓子店として、からいも飴・芋かりんと等の製造販売をしたのが冨士屋製菓の始まりです。

古来より伝わる天然の甘み

からいも飴とは、どういった飴なのですか?

小野卓也(以下小野) からいも飴は、300年以上の歴史をもつ伝統菓子です。その頃に中国(唐)の芋が伝来したのですが、この芋から昔ながらの麦芽製法で甘味料となる麦芽糖をつくり、砂糖の代わりに使用するようになりました。この麦芽糖を煉り上げてつくるのが「からいも飴」で、江戸時代に庶民の間に広まったそうです。唐の芋だから唐芋(からいも)と鹿児島県では呼びますが、県外では薩摩(現在の鹿児島県)から伝わった芋なので薩摩芋(さつまいも)と呼ばれるようになったのです。

麦芽製法とはあまり聞き慣れない言葉ですが、昔からある製法なのですね。

小野 麦芽製法は平安時代から千年以上続く伝統技法で、芋などに含まれるデンプンを麦芽(大麦の発芽部分)に含まれる酵素を利用して糖化することです。こうして作られた水あめ状の麦芽糖は、日本最古の甘味料として日本書紀にも記述が残っているほどで、日本の食文化とも深く関わってきました。戦国時代には備蓄食や陣中食としても重宝され、諸大名は飴造りの技術を門外不出とし、お抱えの飴士に一子相伝として継承させたそうです。

現在も麦芽製法を続ける会社はほかにありますか。

小野 冨士屋製菓では創業以来130年間、伝統の麦芽製法による飴づくりにこだわる全国でも希有な存在です。弊社のように芋(いも)飴の原料となる水あめが100パーセント麦芽糖であること、さらにはその麦芽糖を自社で製造している企業は、現在ではもうほとんどありません。手間ばかりがかかってしまう製法ですが、江戸時代から変わらぬ技を守り続けるのには理由があります。麦芽糖からつくること、これこそが品質の要となるからです。他の製法では決して得られない香り高く豊かな風味、確かな品質を保つため、飴づくりの工程にもこだわり続けてきました。

麦芽製法だけでなく、飴づくりの工程にも秘密があるのですね。

小野 はい。麦芽製法で製造したさつまいもの麦芽糖を、弊社ではさらに直火釜で炊き上げます。直火炊きによってじっくりと時間をかけて加熱することで、風味をさらに引き出して口当たりのよい味わいに仕上がります。この時に、扱いやすいように油脂を入れてしまうと風味が損なわれるどころか、油脂が口に残り味も劣化します。ぐつぐつと煮立つ飴をひとすくい、地下水にくぐらせてはその感触を手で確かめ、ほどよい固さになるまで待ちます。この炊き上がりのタイミングは季節ごとに変化するため、熟練の技が必要です。

温度や湿度に合わせて頃合いを見極めるのは、まさに職人技です。

小野 炊きあがった麦芽糖を、今度は1000回以上も煉り込みます。空気を入れながら白くなるまで煉ることで、ふわっと口どけのよい飴に仕上げます。手煉りを再現する機械を使って空気を十分に含ませていきますが、この練り上げのタイミングも職人の手の感触がすべて。伝統の麦芽製法と熟練の職人技が揃ってこそ、飴本来の素朴な味わいを最大限に引き出すことができるのです。  

誰もが知る鹿児島の ソウルフード

麦芽製法による飴づくりを極め、からいも飴を専業としたのはいつですか?

小野 からいも飴メーカーとして本格的に始動したのは昭和40年代のことです。高度経済成長の中、生産体制を整えながら卸し先を徐々に広げていきました。そして昭和48年に全国菓子博覧会において名誉金賞を受賞すると、からいも飴の名は全国に知られ、注目されるようになりました。ちょうど全国流通が始まった頃でもあり、時代の流れにのって北海道から沖縄まで商品が行き渡るようになりました。

全国展開していく中で、鹿児島ではどういう存在だったのでしょう?

小野 鹿児島の人々にとって、からいも飴は小さい頃から慣れ親しんだ味です。鹿児島を代表する郷土食として愛され続ける存在になれるよう、昭和53年から平成29年までの約40年間にわたってテレビCMを続けてきました。現在はラジオCMに転換しましたが、キャッチコピーの【からいも飴は やっぱい冨士屋あめでーす】は、鹿児島県では誰もが知るおなじみのフレーズに。これからも鹿児島県民のソウルフードであり続けることを願っています。

鹿児島はもちろんのこと、全国でも受け入れられたのには理由があったのですか?

小野 やはり、からいも飴の決め手となる麦芽糖からつくられていることが大きいでしょう。麦芽糖は、ショ糖(砂糖)や果糖(果物や蜜)などに比べ、吸収が穏やかで腸内で醗酵してくれることから、古来より整腸作用に優れているといわれてきました。健康食材ともいえる麦芽糖を、人々は生活の知恵で活用してきました。この地域では乳幼児が便を詰まらせた時にはさつまいもの麦芽糖をなめさせたり、便秘になりやすい妊婦もからいも飴でそれを解消させるのが常識でした。また全国においても、滋養強壮や疲労回復にも役立つとしてお宮参りで麦芽糖が配られていたほどです。

安心・安全なだけでなく、からだに良い食材としての価値も見逃せません。

小野 すでに健康志向の強いアメリカや中国で麦芽糖は広く知られており、「食」にこだわる人々や、マクロビオテックなどの自然派マーケットでも注目されています。熱に強いことから、味の劣化がないことも料理向けに支持される理由です。きび砂糖や三温糖に並ぶものとして、日本でも徐々に一般的な甘味料になっていくのではないでしょうか。健康市場が広がる中、麦芽糖そのものの可能性が期待されています。  
 

鹿児島の食文化を伝え継ぐ

さつまいもの麦芽糖を使って飴をつくるのは鹿児島だけのものですね。

小野 はい、300年続く鹿児島だけのもの。鹿児島では学校の畑にさつまいもを植えている小中学校が多く、今も子どもたちにとって地域を代表する身近な食べ物です。そのさつまいもから飴をつくってきた歴史を伝えるため、弊社のからいも飴は地元大崎町の小学校の教材で紹介されています。このさつまいも文化を直接子どもたちに伝えていこうと、昭和60年より毎年30校ほどの小学校を受け入れ、学校教育における食育の一貫として協力しています。

子どもたちが、飴づくりを見る機会があるとは素晴らしいです。

小野 さつまいもで飴を作ることは、昔ではありふれたことでしたが、現代の子どもたちにとっては新鮮で、さつまいもから水あめができることに驚き喜んでくれます。そして出来立ての飴の美味しさに感動してくれます。このような体験はおそらく一生忘れることはないでしょう。あたたかくてほんのりとした甘さは、出来立てならではの香りとともに、子どもたちの記憶にしっかりと残っていくことと思います。

まさに食文化の継承ですね。

小野 少し前まで、この地域ではどの家庭でもひと冬に数回はからいも飴を作ったといいます。よい香りが家の外まで漂うので、近所の人たちが集まってきたそうです。また、「どなりこんで来た人がいたら、とりあえずお茶と甘い菓子を出す」とは先人から受け継がれる生活の知恵。甘い味は心を落ち着かせ、優しく穏やかにしてくれます。からいも飴を口の中でコロコロと転がしているだけで、和やかな気分になるのはそのせいかもしれません。 我々は、この伝統的な麦芽製法によるからいも飴を守り、これを鹿児島の食文化として継承することを使命とし、後世に伝えていきたいと思っています。

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冨士屋製菓有限会社
〒899-7305 鹿児島県曽於郡大崎町假宿1194番地
TEL 099-476-0067
FAX 099-476-2130 
 http://www.fujiyaame.co.jp
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