社長の自叙伝

社長の自叙伝
2017年08月19日

株式会社ライフワークス 代表取締役 クリエイティブディレクター 堀雅司

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地方には頑張っている中小企業が数多くある。しかし、自ら発信する術を知らなければ、それが日常であるが故に気付いてさえいない人も多い。そんな埋もれている企業や人を掘り出し、取材しメディアに取り上げて広く発信している人がいる。株式会社ライフワークスの堀 雅司だ。作り上げたネットワークとプロの技術を武器に、映像で端的に伝える。その堀が目指す未来とは。叩き上げブランディングプロデューサー安藤竜二が切り込む。

諦めきれないもの作りへの思い

安藤竜二(以下安藤) まずは堀さんご自身のことから教えていただけますか。

堀 雅司(以下堀) 1959年に岐阜県恵那市で生まれ育ちました。大学は豊橋市の愛知大学文学部へ。そこで演劇研究会に所属し、大学3年生の時には休学して東京・世田谷の劇団に住み込みで在籍するほど芝居に没頭していました。当時は、役者をやりながら好きで台本も書いていたんです。でもある日、京王線に乗ってたら、僕は雪駄履きにTシャツ、ジーンズなんですが、同年代の人たちがスーツをビシッと着ていたのを見て「これはまずいな」と思ったんです。このままでは僕は飯を食っていけないのではと思ったらすごくみじめな気がしてきて、ちゃんと働きたいと思い芝居にキリをつけて大学に戻りました。

安藤 大学へ戻り卒業後、今の仕事でもある制作会社へ就職されたのですか。

 元々ものを書くのが好きなのもありテレビ局などのマスコミを受けたのですが、当時は今よりも狭き門でしたので諦めて、日本通運株式会社航空事業部に入社しました。そこで、君は笑顔がいいからという理由で静岡支店の海外旅行課に配属されたんです。その支店は小さく少人数だったため、営業から手続きなど新人の僕でもいろいろなことをやらせていただきました。入社3カ月後には海外へ添乗に出かけ、2年間で添乗経験20回は同期の中で断トツ1番だったと思います。
 仕事には何の不満もなかったのですが、大学時代の演劇仲間が名古屋のテレビ業界にいて、ある時、制作会社を紹介してくれたんです。それがきっかけでものを作りたいという思いがどんどん大きくなって、1年間悩んだ末、社員4万人の会社を辞めてたった4人の制作会社へ転職しました。そこでテレビ番組の制作を中心にいろいろなことを学んだんです。

安藤 思い続けることで道は繋がるんですね。では、創業までのいきさつを教えていただけますか。

 25歳の頃から転職した制作会社でテレビ番組の制作に携わり、35歳で会社を辞め独立、個人事務所として『堀事務所』を設立しました。恵那で材木業を営んでいた実父、名古屋でバイク屋を経営していた妻の父と二人とも自営業だったためか、「頑張れよ。自営業は我慢が大切だぞ」と後押ししてくれたんです。そして、フリーランスのディレクターとして数多くの番組・企業VP・行政機関VPなどを15年間個人でしてきたのですが、業務の拡がりに伴い法人化し2009年に『株式会社ライフワークス』を創業しました。

安藤 理解者がいるのは心強いですよね。具体的に現在どのような仕事をされているのですか。

 個人事務所時代、地域で頑張っている人と出会い、その物語を作るという旅番組をずっと作ってきました。番組放送後、涙ながらにお電話下さる方もいました。それがとてもうれしくて、「これだ!」と思い、今は頑張っている人の物語を企画にしてニュース番組へ持ち込むことが多いです。
 仕事をしていく中で気づいたのですが、地方の中小企業さんはいいものを作っていてもそれを宣伝するノウハウを持っていないんです。そこで僕は、地道に地域のため社会のために活躍されている中小企業さんを取り上げていくことが使命だと思っています。
 先日も、東海豪雨で何千万もする機械が水没してしまった町工場の経営者さんを取材したのですが、その方はどん底まで落ちても子供のために頑張らねばと思い、機械をドライヤーで乾かすなどして、何とか持ち直し軌道に乗せたんです。当時それを見ていた子供たちが、30歳になって家に戻り今は2人の息子と共に営業している。それがすごくいい話だったので、取材して番組で放送してもらったら、息子さんから「父を取り上げてくれてありがとう」って感謝されました。喜んでいただけると頑張れるんですよね。

広いネットワークが仕事を生む

安藤 その地方で頑張っている方の情報はどのようにして集められているのですか。

 人づてが多いです。また、岐阜県の産業振興センターの方との繋がりがありますので、岐阜で面白い人がいるという情報をいただく事も多いです。その中から取捨選択して企画を作りテレビ局へ持ち込んでいます。毎週悩みますが、それが楽しいんですよ。

安藤 広いネットワークをお持ちなんですね。

 不定期開催ですが、僕が主催して『疾風怒涛の会』という集まりを4年前から開催しています。メディアの人間と中小企業さんとのお見合いのような会です。その会で、用意していただいた自己PRのチラシを使い自己紹介をしていただいています。実際に集まった人たちがコラボして、何ヶ月か後にメディアに登場したのを観た時はかなりうれしかったですね。また、この場で自己PRの大切さを知った方々から、映像が一番分かりやすいと、テレビ以外の仕事の依頼が今まで以上に来るようになりました。

「見つける」人

安藤 素晴らしい。どのようなものを制作されたのですか。

 簡単な企業説明や新商品の紹介VTRなどです。制作した3分ほどの短いものを営業先のプレゼンなどで使用しているそうです。
 今ではYouTubeやFacebookなどに流すことも出来るので、映像は企業のPRに最適だと思います。
 以前、ある会社の企業説明会用VTRを制作したのですが、この業界はBtoBで難しい単語が多く、まるで外国語を話しているみたいでよく分からないんですよ。そこで、僕らがその言葉を分かりやすく「翻訳」してVTRを作ったら、展示会で一般の方が立ち止るようになったんです。その映像が好評で、今では営業マンみんなタブレットに入れて使っているそうです。5分、10分しゃべり続けても理解できないものが、3分の動画にすることで分かりやすくなった。まさに、百聞は一見に如かずですよね。このように、僕らはみなさんのセールスポイントを分かりやすく翻訳するのも仕事です。

安藤 それがテレビの技術ですよね。誰もが分かる言葉を選んで伝えることをやり続けているから出来る。それって強みですよね。

 そうかもしれません。他にも、岐阜県にある布団屋さんが新作のベッドをPRしたいとのことでお店へ行き社長の話を聞くと、岐阜県産の東濃ひのきを使った高級ベッドを作っていると言うんですね。その木は伊勢神宮の式年遷宮にも使われた質の高いものなので、東濃ひのきをアピールしてドキュメンタリー的にベッドを紹介しましょうと話をして、物語調のPR映像を制作しました。それが展示会でとても好評だったそうです。
 ものを作ることは、そこに物語があるものなんです。でも、毎日仕事をしていると分からなくなるんですよ。それを僕が足を運び、ジャーナリスティックな視点で話を聞くことで見つけられる。このように様々な映像制作をするようになりましたので、分かりやすくするためにひとつのパッケージを作りました。

経験豊富なスタッフによるプロの仕事

安藤 堀さんのプロの仕事が周りから求められてパッケージを作られた。どのようなものですか。

 映像制作って高額なイメージがありますし、見積書に理解できない項目で数字が羅列されていて何が何だか分からない。しかもそれで○○万円です、と言われても納得できないですよね。でも実際に映像を見せて、これだけのクオリティで50万円ですよと伝えれば、「いいね」と言っていただけるんです。動画の訴求力ってすごいですよね。そして作ったパッケージが、『ザ・企業ドキュメンタリー』です。単なるPR映像ではなく、作品全体をドキュメンタリー調にして観る人に分かりやすく訴求するものです。価格も明確に一目で分かるようにしました。

安藤 分かりやすい。簡単にVTR完成までの流れを教えていただけますか。

 簡単な申込用紙に伝えたいことを記入していただき、それを元に僕が何をやりたいのかなどのヒアリングを行います。例えば営業ツールなのか新商品の宣伝なのかなどです。映像にしなければいけない部分だけを作りましょうといった話をして、それを台本に起こして撮影をします。テレビ局で働いていてた経験豊富な人たちで作っています。

安藤 経験豊かなスタッフが行くことで信頼も得られますよね。それでは、今後の展望を教えていただけますか。

 多くの中小企業さんのこだわりを発信していきたいです。僕はメディアとつながりがあるので、テレビに取り上げられるためのきっかけとなる映像を作れる。その役割として、地域で頑張っている方にスポットライトを当て、僕が媒介となって発信するお手伝いをしたいですね。
 特にいまは農林水産省が6次産業に力を入れているからか、農業をやられている方を取材することが多いです。今は農業も活性化してきて、生産だけでなく加工品を作って売らなきゃいけないところまで来ているんですが、どうすべきか、みなさん悩んでいる。しかも高齢化、後継者不足という課題も抱えている。そういった人たちの力になりたいと思うんです。
 そういった仕事からテレビに取り上げることをしながら、この地域でのメディアへのパイプ役として、地域の情報を広げるひとつの起点になっていきたいですね。


堀雅司
株式会社ライフワークス
代表取締役
クリエイティブディレクター


 1959年、岐阜県恵那市明智町(現日本大正村)生まれ。大学時代は演劇研究会に所属し、一時期は東京の劇団に所属するなど演劇にのめり込んだ経験がもの作りの原点となった。大学を卒業後、日本通運株式会社へ就職。その後演劇時代の仲間からの紹介によりテレビ番組制作会社へ転職。フリーランスを経て2009年に株式会社ライフワークスを設立。ものを作る喜びと、見ていただいた人に感動してもらえることをやりがいに日々仕事に打ち込んでいる。


株式会社ライフワークス 
〒461-0005 名古屋市東区東桜1-6-3 ユニーブル栄406
TEL : 052-977-5071 FAX:052-977-7356
株式会社ライフワークスオフィシャルサイト
URL http://www.lifeworks-japan.com

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