社長の自叙伝

社長の自叙伝
2018年02月22日

株式会社マリエ 取締役 長谷川清美

 生涯活躍できる美容師の育成を胸に、事業に取り組む長谷川清美。それを絵空ごとではなく、企業として実践している点は注目に値する。海外コレクションという華やかな舞台も支える彼女が、今の考えに至った経緯は何か。そしてこれから思い描く美容業界の未来とは。叩き上げブランディングプロデューサーの安藤竜二が核心に迫る。

安藤竜二(以下安藤) まずは株式会社マリエについて教えてください。

長谷川清美(以下長谷川) 株式会社マリエでは、美容に関するさまざまな事業を展開しています。カットから着付け、エステやネイルまでワンストップで提供する美容室マリエプラス千種本店、金山店を中心に、ホテルアークリッシュ豊橋内や熱田神宮会館内にある専属ブライダルサロンなど、合計8拠点を運営しています。年間で、成人式は約500件、卒業式は約900件、結婚式は2000件以上のご依頼をいただいています。一般美容からブライダル美容まで、あらゆる場面で輝ける。私たちが株式会社マリエを『美容のトータルプロデュースができるハイブリッドカンパニー』と表現しているのはそのためです。私個人としては経営に参画するのは当然のこと、コマーシャルのお仕事や桂由美さんのコレクションのバックヤードを務め、ミス・ユニバース・ジャパン愛知の講師なども担当してきました。

安藤 通常の企業ですとサロンの運営だけで手一杯になりそうですが、マリエでは美容に関する事業を幅広く展開。それには理由があるのですか。

長谷川 かつての日本ではカットだけでなく、セットやメイク、着付け、ネイルなど、こうした技術を全て習得している方を「美容師」と呼びました。つまり「美容の先生」です。それが、時代が進むにつれてヘアスタイリストやネイリストのように分業化されていき、結果、生涯を通しての活躍はしにくい職業になってしまったのです。ヘアサロンに目を向けますと、40歳、50歳になれば現場を退かなければならないのが現実。しかしトータルで美容を学べば、ブライダルの舞台があることで、60歳を超えても活躍できる職業になります。サロン運営のみだった弊社が、ブライダル美容をスタートさせたのはそのためです。実際、マリエでは定年退職制度を設けておりません。60歳になっても70歳になっても、生涯を通して活躍してほしいと考えています。現在の基盤は約10年かけて築いてきたのですが、この企業方針は非常に評価され、経営革新計画のサービス業の分野で表彰されました。美容師が全ての技術を身につけることで、七五三や成人式、結婚式など、人生の節目に携わることが可能となります。「生涯美容」と「お客様の全ての節目に寄り添うこと」。それがマリエの理念です。

安藤 素晴らしい理念に思います。やはり若い頃から「美容業界で働きたい」という情熱を持っていたのですか。

長谷川 今だからこそ言えますが、実は体育の教員になるのが夢でした。テニスの国体の強化選手に選ばれて、インターハイに出場したこともあります。それくらいスポーツが好きで…。ただ最愛なる弟の病死により女性としての自立を考え高山美容専門学校へ進学しました。進学校にいながら受験を諦めなければならかったのでとても悔しかったのを覚えています。忘れもしないのが、後に会った中学校の恩師からも「どうして国立大学を受けなかったんだ」と叱責されたこと。でも選んだからにはやるしかない。典型的な負けず嫌いなので、悔しさをバネにして首席で卒業することができました。

安藤 経緯が経緯だけに、美容の世界で生きていく決心はついていなかったのではないですか。

長谷川 その通りです。美容師としてサロンで働いていた頃は葛藤の日々でした。その後、美容関係の経営コンサルティング会社へ転職し、現在の主人と知り合って結婚。結婚がこの世界で生きていく決心がついた、一番のキッカケでしたね。主人はマリエの前身となる会社の経営者で、そこで美容師の離職率の高さを目の当たりにして「このままでは美容業界が嫌いになる」と危機感を感じました。「美容業界を変えたい。だったらまずは自分たちの会社から変える」と決心しましたね。あの瞬間、考えが変わった気がします。

安藤 会社を変えるために具体的に何からスタートしたのですか。

長谷川 目をつけたのが前述のブライダルでした。まずは私自身がウエディングプランナーのライセンスを取得してキャリアスタートし、お客様に式場を斡旋していきました。そこで仕事の姿勢を見ていただいた式場の方々からヘアメイクのオファーをいただき、仕事の幅が広がっていきました。すると「これも知りたい」「これも覚えたい」と感情が芽生えるわけです。ブライダルファッション界の第一人者と言えば桂由美さんです。コレクションの美容師を募集していたので応募して、桂由美さんに会いに行きました。桂由美さんにはパリコレクションをはじめ、さまざまな舞台を経験させていただき、本当に感謝しています。それからメイクの本場はやはりアメリカですから、ロサンゼルスのメイクアップデザイナリースクールに留学。桂由美さんからハリウッドで活躍しているヘアスタイリストの徳永優子さんを紹介していただき、一流の技術も習得することができました。徳永さんとは、今では会えば二人で飲んで語り合う、素敵な関係になれましたね。

安藤 行動力がすごいですね。輝かしい経歴は全て独力で切り開いてこられたのですね。

長谷川 これは本心なのですが、全ては「お客様のため」です。もちろん「会社を変える」「業界を変える」との思いもありましたが、当時、私を突き動かしたモチベーションは全てが「お客様」でした。ブライダル美容を始めて「お客様に最高の技術を提供したい」と欲求が生まれ、もっと学ぶ必要があると感じました。「技術を極めたい」「一流の先生に師事したい」との衝動に駆り立てられ、伝手もコネクションもない環境でも、自ら恐れずに飛び込んでいきました。すると必然的に桂由美さんや徳永優子さんとの出会いが生まれたのです。特別なことは何もありません。今の私があるのは小さな行動の積み重ねに思います。

安藤 最後にこれからの展望を聞かせてください。

長谷川 マリエ=長谷川清美のイメージが確立できました。10年かけて、美容をトータルプロデュースできる企業に革新することもできました。ただ私ばかりが表に立っていては、会社は成長できません。社名の「マリエ」はフランス語で結婚や融合などの意味を持ちます。美容師の原点に立ち返り確立した、ヘアカットからブライダルまでありとあらゆる技術を熟知する「マリアージュスタイル」で、スタッフ全員が一丸となって輝いていくのが私たちの思い。そこで新たにセカンドブランド「スタイルディレクションズ」を立ち上げました。次世代の感性を武器にした社内の若いスタッフたちによる美容プロジェクトで、コマーシャルやコレクションなど、きっと新しい可能性を示してくれると思います。生涯美容の生き方をマリエだけでなく社外にも発信する時期がやってきたとも感じています。そのため美容業界に関わる人たちを対象にしたスクールも運営します。そこでは、私の考える美容哲学、できて当たり前の技術を超えたサービス、そして「ブライズルームは聖域である」という考えに至るまでのプロセスなど、「マリアージュスタイル」の真髄を教えていきます。美容業界を変えるフェーズへとうとう来ました。私たちが思う美容師のあるべき姿を、一人でも多くの方に伝えていくのがこれからの目標ですね。

 

 長谷川清美
 株式会社マリエ 
 取締役


  メイクアップアーティスト、ヘアスタイリスト。結婚後、桂由美 の全日本ブライダル協会にてウエディングプランナーのライセンス を取得。その後、桂由美のパリコレクションやニューヨークコレクションをはじめ、さまざまなコレクションのバックステージのキャスティングや、美容師として活躍する。経営者としての仕事が増えてきた現在、「生涯美容」の生き方を社外にも発信するべくスクールを開校。講師として次代の美容師の育成に情熱を注いでいる。


株式会社マリエ
〒460-0022 愛知県名古屋市中区金山4-1-9 4F
TEL : 052-253-8004
FAX : 052-253-5906
URL http://www.marieplus.jp/

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