社長の自叙伝

社長の自叙伝
2017年08月01日

株式会社育暮家ハイホームス 代表取締役 杉村喜美雄 

静岡県藤枝市で住宅、お店づくりの設計・施工を営む株式会社育暮家ハイホームス。地域の木材を使った家づくりへのこだわりをはじめ、施工に携わったお店を結ぶ「食の会」の主催、日本の古き良き住宅の魅力を伝える大沢ヴィレッジ「青のさんっち」の運営、完成した家を育て、暮らすという「育暮家(いくぼーや)」という考え方など、地域と家と暮らしの中で様々なチャレンジを続けている。その中心にいる杉村喜美雄社長、笑顔の内に秘められた家づくりへの想いに迫った。

木とともに育ち

安藤竜二(以下安藤) ハイホームスさんのある静岡県中部地区というのは、どういったところなのでしょうか。

杉村喜美雄(以下杉村) 南アルプスから駿河湾の平野部まで広がる大井川沿いの豊かな森林に恵まれ、この辺りは昔から地場産業として家具雑貨など木材の加工品を生産していました。木材加工の機械でも日本のトップシェアを誇ってたんですよ。

安藤 そんな木の街で、杉村社長はどのように育ったのでしょうか。

杉村 私の親父は木材加工によって出るおがくずや木片を燃料にして、瓦屋さんなどに卸す仕事をしていました。親父との思い出は、製材工場でむせびながらおがくずにまみれていた日々と、肌についたおがくずの木の匂いが一緒に蘇ってきます。小学校の頃、授業でこの街を描くということになった時に、「木のモニュメント」を描いたことも。今思えば、それは現在の仕事を暗示していたのかもしれませんね。

 親父は私を大学に行かせるつもりはなく、まず商業高校へ、卒業したら床屋になれが口癖でした。ところが、当時近所に工業高校ができたことが転機に。当時としてはなかなか人気の高校で、ここならばと親父は許してくれたのです。もともとモノづくりが好きで、高校では建築科を専攻しました。就職は清水市内のゼネコンに。しかし、会社勤めでは毎日同じことの繰り返し。常に「このままではいけない!」という思いを抱えていました。

 お金を貯めて、4年ほど勤めた会社を辞め、単身渡英を決意。語学学校に入って、ビザを更新しながら1年ほど英国、欧州諸国に滞在しました。実はそのまま欧州に住みたい、という想いもあったのですが、日本を出る前に交わした、ある会社との「1年後の入社の約束」、長男である私への父の思いが私を日本に連れ戻しました。

 海外に行ったことによる収穫の一つは、30年以上経った今でも、連絡を取り合い、心を寄せる友人がいること。最近になってお互いに年月が意味する価値を感じ始めました。この30年の間に築いた信頼関係はお互いにとっての財産なのだな、と。

安藤 創業時からずっとお付き合いのあるお客さんも多いそうですが、「信頼関係はお互いの財産」というのは、杉村社長とお客さんとのお付き合いにも同じことが言えますね。

杉村 帰国後は誘われていたゼネコンに就職。ここでの悩みはいつでも安いほうが勝つ、という値段勝負になってしまうこと。建築現場に立つやりがいはあれどユーザーの顔は見えず、私は数字だけの競争に喜びを感じることができませんでした。

 10年ほど勤めて退職し、お客様の顔が見える会社を作りたいという想いのもと、34歳の時に株式会社ハイホームス(現:株式会社育暮家ハイホームス)を設立。その名前にはお客様の声に、何でも「ハイ!」と応える企業でありたいという想いを込めました。増改築の専門店として始まり、スーパーマーケットの店舗改装、鉄骨や浄化槽の仕事、アパートの設計、施工を受注したり、と守備範囲を広げていきました。

安藤 
戸建をやるようになったきっかけは?

杉村 
創業して5年ほど経った頃、「OMソーラー」との出会いがきっかけでした。OMソーラーとは、太陽エネルギーを電気に変換して使うのではなく、太陽の熱をそのまま利用し、暖房や給湯に生かす仕組みです。

 OMをきっかけに出会った建築家の方々の建築談議を横から聞いているだけでも私にとって大きな刺激となりました。それは今まで私が考えてきた建築の概念を打ち崩すもので、建築とは何か、家づくりとは何かということがようやく解り始めた、そんな気すらしました。現在ハイホームスがこだわる「自然と共生する家づくり」や「木の家をデザインする」という考え方も、ここから始まったものと言えます。

安藤 「木の家」へのこだわりとは?

杉村 2000年、弊社の社員が代表を務め、「大井川の木で家をつくる会」を発足しました。地元の製材屋さんの協力によって、大井川流域の杉、桧の木を使った家づくりを推奨する会です。コンセプトは森・里・海は繋がっていて、森が元気になれば、里も海も元気になる、という考え方。全国で急速に失われつつある「生きた森」を蘇らせるためには人の手が不可欠で、山の木が家や家具に使われ、山にお金が返ることが重要です。会は2010年、財団法人日本住宅・木材技術センターによる「顔の見える木材での家づくり50選」にも選ばれました。近くの山の木を考えるときの新しいキーワードは森自身が描く「森の夢」。「こんな風に森の木を使って欲しいな」、「森がキレイになれば海の魚も喜ぶかな」・・・森の立場になって、「森が望んでいる家づくり」を考えてみる。そうすればなぜ、大井川の森の木で家をつくり続けるかを理解し、伝えやすくなるように思います。

10年後を見据えた家づくりを

安藤 「食の会」という、ハイホームスさんの事業とは関係なさそうな会も主催されていますよね。

杉村 店舗や店舗付住宅を施工させていただく機会に恵まれまして。お蕎麦屋さんを任せていただいたら次にお米屋さん、そしてケーキ屋さん、八百屋さん、お肉屋さんといった具合に、紹介によってどんどん繋がっていったんです。そこで、弊社でお店づくりをお手伝いさせていただいたお店を結ぶ「食の会」を発足。皆さんで集まって、勉強会を行ったりしているんですよ。

安藤 ハイホームスさんと言えば「大沢ヴィレッジ」の取り組みも見逃せませんね。

杉村 藤枝駅から北へ車で30分ほどの大沢地区の一角にある大沢ヴィレッジは、当初お客様が窯でレンガや炭を焼いたり、鍛冶仕事の体験ができる作業所(山の沢工房)を作ろうと計画していたものです。ところが大沢地区の集落では、崖くずれの危険から立ち退きを余儀なくされ、里から人が去っていくという現実がありました。大沢ヴィレッジにある古民家はその中の一軒を譲り受け、移築したもの。住んでいた方のお名前を頂き「青のさんっち」と名付けました。昭和初期に作られた家を解体させていただくと、それがもともと解体移築できるように作ってあることが解ります。かつての日本の家は受け継ぎ循環できる家であり、「一度つくったら後は壊すしかない」という、昨今の家のつくりとは全く違うものでした。

 「青のさんっち」の移築体験は私たちにとって、先人の技術への尊敬と、そこにあるもの、思いを生かしての家づくりへ大きな自信となりました。時代はストック重視の社会に向かっています。大切なのものを残し、豊かな暮らしを住宅リノベーションが担う、そんな時代です。私が住んでいる家も7年前リノベーションしました。耐震強度を上げ、OMソーラーや大井川の森の木を生かし、古い家の良さを繋ぐことができました。リノベーションしたことで、とても気にいっていることがあります。それは、裏庭の大きなつつじの木がどこからでも見えるようになったこと。あれから毎年5月になると沢山の花をつけ、私たちをとても気持ちよくしてくれます。「家は手をかけて心地よさ、うれしさを育んでいく」という「育暮家」の考え方はこうして深まっていきました。

安藤 杉村社長の柔和なお人柄や真面目さ、お客さんを想う心が伝わることで、お客さんがお客さんを呼ぶという好循環を作っているんですね! 最後に今後の夢をお聞かせ下さい。

杉村 「育暮家」とともにある、一大テーマが世代交代です。若いお客様との世代ギャップはデザイン感だけでなく価値観のギャップにもなっているとの思いがありました。実は最近まで自らの世代交代、一線から退くことばかり考えていました。それが、ある30代の施主様とお付き合いさせていただいたことを機に一変しました。

 限られたご予算をどう振り分けどこに向けるか、それは考え方で大きく左右する部分です。例えば設備装備、最新鋭のスペックは魅力的です。でも設備は老化もするし、また新しくもなります。それだったら、次第に良さを増し街並みも美しくする外廻りへ予算を回してはどうか。私の提案はいつも「まず10年後を目標とした家づくり」です。選択して頂いた答えは「トイレは機能重視でよしとし、手を掛けて魅力を増すところに予算をあてます」でした。そこから外構計画にも力が入って行きました。お話や打ち合わせを重ねる度に、価値観の近さを感じることができました。心配していた世代ギャップは、単なる私の中の気持ちのギャップに過ぎず、心配するより積極的な会話が大切だと思うようになりました。一線を退こうとしていた私に、家づくりへの新たな力をもらった体験でした。

 先に「信頼関係はお互いの財産」という話がありましたが、住宅は物理的な財産ではありますが、目に見えない信頼関係こそ私たちにとっては大きな財産です。信頼関係があってこそ、様々なご提案や問題解決もできます。この財産を多くの皆様、スタッフと共有し、10年先にそこに住んでいる風景を思い描きながら、お客様に満足いただける家づくりを続けていきたいと思います。



杉村喜美雄 
株式会社育暮家ハイホームス 代表取締役


 1950年生まれ。一級建築士。幼い頃より木に触れて育ち、高校では建築を専攻。地元ゼネコンに勤めた後、34歳で株式会社ハイホームスを設立。今でもその存在理由を常に自らに問いかけることを忘れない。「大切なものを残していきたい」という気持ちで、家づくりに携わる。


株式会社育暮家ハイホームス 
〒426-0063 静岡県藤枝市青南町2丁目8-7 
TEL:054-636-6611 FAX:054-636-6624 
URL:http://www.hihomes.co.jp

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